『家庭画報』2024年8月号に掲載されました!

頭痛の話をしてみよう

今回のスタッフブログは「頭痛」について。

頭痛には鍼灸がおすすめ……?

ミサ
ミサ
あつみさん、あつみさん。鍼灸は頭痛の方にもおすすめですよね。

そうですね。
でも、すべての頭痛が鍼灸の適用になるかというとそうではないんですよ。
まず一番大切なのは、脳出血、脳腫瘍、髄膜炎などの命にかかわる病気かどうか、の判別です。
急な吐き気や嘔吐、手足の痺れ、発熱言語障害、認知機能の低下、これらの症状があった場合には、保険医療機関の受診が必要です。
あつみ
あつみ

ミサ
ミサ
場所が場所だけに怖いですよね。
私も「不安になったらためらわずに病院へ」と患者さんにも伝えています。

 

特に多いのは緊張型頭痛と片頭痛

ミサ
ミサ
森空堂にも頭痛でお悩みの方がけっこう来院されていますよね。

そうですね。我慢して日常生活を送っている人も多いと思います。
昨今では新型コロナウイルスの影響もあって、テレワークの方も増えました。より長時間同じ姿勢でいることが多く、また目も使うことから、疲労の蓄積で頭痛を発症している人が増えている印象です。
あつみ
あつみ
代表的な頭痛
・緊張型頭痛
・片頭痛
・群発性頭痛

緊張型頭痛

緊張型頭痛は、首や肩、頭の筋肉の緊張によって引き起こされる頭痛です。
締め付けられるような鈍痛で、疲れがたまったりストレスがかかったりすると生じることがあります。人口の22%が患っているとされています。
あつみ
あつみ

ミサ
ミサ
2割強! そう考えると結構多いですよね。

片頭痛の方も緊張型と併発していることも多く、一概にどちらかが主な原因かどうかは判別がつきにくいですね。
あつみ
あつみ

ミサ
ミサ
緊張型頭痛の治療はどんな感じでしょう?

緊張型頭痛の原因は、首や肩、頭の筋肉の緊張のことも多いです。
首や肩の筋肉の多くは、首の付け根や“盆の窪”から耳の後ろ側に付着しています。該当部分のコリを取ってあげることで改善を見込めます。
あつみ
あつみ

ミサ
ミサ
まさに鍼灸の得意とするところですよね!
長時間の同姿勢によって凝り固まった筋肉に鍼やお灸をすることで、その緊張を緩和できるのは私も自分の身体で実感しています。

片頭痛

偏頭痛は、一般的には片側性で、血管拍動性(ズッキンズッキン)が特徴です。
また、3割の方は発作の前にギラギラしたものが見えてきたりします(閃輝暗点)。
光に対して敏感になったり、吐き気を伴ったりすることもあり、日常生活に支障をきたしてしまうこともあります。
あつみ
あつみ

ミサ
ミサ
人口の8.4%が患っていると報告されているとか……。20~40代の女性に多い頭痛だと聞いています。

群発性頭痛

群発性頭痛は数カ月の間、目の奥の痛みと涙、鼻水などの自律神経症状が特徴です。
頭痛の中でも最も痛みが強く、「目をえぐられるような」と表現されるほどの激しい痛みです。
あつみ
あつみ

ミサ
ミサ
えぐられるような……!(汗)経験したことがある方でなければ、共有できない痛みですよね……。

森空堂にいらっしゃる患者さんは主に1緊張型頭痛と片頭痛なので、群発頭痛の方は病院にかかっている方が多そうです。
あつみ
あつみ

 

頭痛顔面痛は頸部での
脊髄神経と三叉神経との関係が重要

3つある頭痛の中でも片頭痛を中心に見ていきましょう。
あつみ
あつみ

ミサ
ミサ
片頭痛はどのように施術をするのですか?

すごくシンプルに言えば、鍼で頸を緩める、ということですね。
顔と頭を支配している三叉神経はなんらかの刺激により過敏になり興奮します。
興奮した三叉神経は頸にある脊髄後面に入力され、そこで三叉神経頸髄複合体(TCC)を形成します。
三叉神経頸髄複合体(TCC)とは頭痛・片頭痛および顔面痛の重要な経路のことです。
あつみ
あつみ

ミサ
ミサ
だから頸部の状態と頭や顔の痛みは密接に関わるのですね。

はい。なので片頭痛は頸部を緩める施術をおこないます。
とはいえ、臨床的には片頭痛と緊張型頭痛は治療方法を大きく変える必要はないと言われています。
あつみ
あつみ

頸部の痛みや緊張をとることが
頭痛顔面痛の基本的な治療戦略

ミサ
ミサ
片頭痛に前兆はありますか?

閃輝暗点が予兆として取り上げられることがありますが、実は片頭痛らしさに前兆はあまり当てにならず、「予兆期」のほうが重要です。
時間的経過として、予兆期、前兆期、頭痛期、回復期に分けられ、予兆期には頭痛が始まる数時間前に「あくび、多尿、気分変動、易刺激性、光刺激、頸部痛、集中困難」などのさまざまな症状が起こるとされています。
この予兆期はご自身でわかっている方が多いので、タイミングを見計らって鍼でもケアが可能です。重要なのは脳が過敏になっているためリラックスさせてあげること、加えて鍼で「日常では感じないような刺激」を入れることです。
あつみ
あつみ

ミサ
ミサ
予兆を感じたら早めにケアをすることが大事なんですね。

はい、その通りです。
森空堂では、頸部の痛みや緊張をとることを一つの基本として、頭痛に対する治療をおこないます。
あつみ
あつみ

東洋医学からみる片頭痛

ミサ
ミサ
東洋医学では片頭痛をどう考えればいいでしょうか?

東洋医学では、気が満ち足りてよく巡っている状態が健康とされています。
大雑把に言えば西洋の病は自分の身体が悪いと考えますが、東洋の病で考えると自分だけでなく、自分の周りの環境(家庭、職場、地域、自然など)も重要になります。
イベントにより受ける影響の大きさは、個々によって違うので思い当たる原因がないという人も多いです。あとは知らない間に気を消耗しているパターンも多くみられます。
「普段はもっとできるのに」「ちゃんとしている」などのワードを使う自分に厳しい人は注意が必要ですね。「考えが固まっている=気が固まっている」と考えられます。
あつみ
あつみ

ミサ
ミサ
考えが固まると身体も固まる、わかりやすいですね。

気が回復しているかは睡眠時間ではなく「目覚めのスッキリ感」で確認できます。
夜間に気が身体の中に収まることにより身体が回復します。
身体が緊張していると気が中に収まりにくいので、寝つきが悪かったり、中途覚醒につながるんです。
本来、睡眠中の活動は呼吸だけになるので気が増えやすい状態にあります。
その中でも気が増えやすい時間は22時から2時とされているので、その時間にはベッドに入っていただきたいですね。
あつみ
あつみ

ミサ
ミサ
食べ物についてはどうですか?

食べたいもので気の状態を確認することができます。
食べるというのは気の補充や気を動かすために重要な役割をしています。
そして、緊張状態を取るために食べたくなるのが嗜好品です。
例えば「毎朝コーヒー飲む」という習慣は、自分で気を広げられないため、コーヒーを飲んで気を動かすと考えます。
あつみ
あつみ

ミサ
ミサ
私、チョコが好きでよく食べちゃうんですが、これってやっぱりよくないですか?

食べてバランスを取ろうとしているので食べること自体は悪いことではないです。
甘いものや辛いものを食べたい時は自分が今緊張状態にあることを理解し、習慣的に食べてしまっているのか、それとも自分が本当に食べたいのかを一度考えてから食べるといいでしょう。
緊張状態にあると脾胃が弱る物・刺激的な物を食べてしまうのですが、消化器を刺激して体を緩ませるので東洋医学的には全てが悪いとは考えません。
あつみ
あつみ

ミサ
ミサ
なるほど!
今回は頭痛について現代医学と東洋医学で整理してみました。お悩みの方はぜひ一度お近くの鍼灸院に相談してみてくださいね♪

 

まとめ
心の緊張が体の緊張へつながるので、逆に体の緊張をとることで心の緊張もほぐすことができる。
緊張型頭痛の治療や片頭痛の予防効果については学術論文でも「鍼灸が有効である」とされています。
とはいえ、効果には個人差があるので、まずは一度お試しください。