「陰陽論」と「五行論」
「陰陽論」とは、この世の万物は、陰(月)と陽(太陽)の大きく二つに分類され、これらがお互いに様々な影響を与え合っている、という考え方を以前のブログでご紹介しました。
それに対してもう一つ、この世の万物は「木・火・土・金・水」の大きく五つに分類され、これらがお互いにさまざまな影響を与え合っている、という「五行論」という考え方があります。
五つの分類、色であれば「青・赤・黄・白・黒」に該当します。
季節であれば「春・夏・長雨・秋・冬」、“青春”という言葉や“北原白秋”という雅号もこちらに由来します。
方角であれば「東・南・中央・西・北」、少しでも中二病を患ったことのある方にはお馴染みであろう四神や四天王もこの配色になっています。
またお寺の五色幕や七夕の短冊の色など、意外と身近なところにも存在している考え方です。
陰陽を表す「太極図」
五行論の分類
お天気とお身体の関係
さて、東洋思想の面白いところは、これらの分類法を、自然と人体とに同じように当てはめて考えるというところです。
これを「天人合一思想」といいます。つまりは自然の様子が身体に影響を与えるということです。陰陽論であれば、陰=夜になると寒くなって静かになって眠くなる、となります。シンプルですね。
同様に五行論であれば、身体は「肝・心・脾・肺・腎」となり、例えば金について考えてみると、秋になると肺が病みやすいため予防として白いものを食べましょう、鍼灸治療は肺経という流れを使ったり、金穴というツボを使ったりしますよ、となるわけです(流れやツボといったこのあたりの詳しい話はまた別の機会に)。
また最近の西洋医学の研究でも、低気圧が近づくと、耳の奥の内耳に影響を及ぼして不定愁訴を引き起こしたり、関節包内の水分が引っ張られて関節痛が生じたりするということが明らかになってきています。
雨の日は身体が重くて具合が悪い、というのは決して気のせいではありません。自然の大気のせいです。
鍼灸治療は、その日のお天気や季節のことも考えながら、アプローチの仕方や刺激量を調節しています。
東洋思想の二つの大事な考え方に「陰陽論」と「五行論」があります。
これらの考え方では、自然も身体も同様に分類します。
鍼灸においても、自然の状態は身体に大きな影響を与えると考えて治療にあたっています。